<それでもボクは嗅いでない> 登場人物 ・主人公〜加藤賢太郎(カトケン) ・裁判長 ・検察官 ・弁護士 ・被害女性K(ニセモノ) ・被害男性T ・豪腕刑事 ・人情派刑事 ・ナレーター 小道具 ・太陽を浴びたマンゴー(飴)×2 ・バナナ(代用品可) ・缶ビール 第一幕〜取調室〜 カトケン  │嗅いでません!!       │       │<光を点ける>       │ 豪腕刑事  │ネタは挙がってるんだ。お前が嗅いだんだろ。       │さっさと吐け!       │ カトケン  │嗅いでないったら。       │ 豪腕刑事  │しらばっくれる気か。この変態。       │ カトケン  │嗅いでないって言ってるだろ。       │ 人情派刑事 │まあまあ○○君。少し落ち着いて。       │君も疲れただろ。何か食べるといい。       │ここに、味噌汁と納豆がある。食べるかい。       │ カトケン  │わあ、納豆汁だ。いい香り。       │ 豪腕刑事  │やっぱりお前が嗅いだんだろ。このド変態め!       │       │<豪腕刑事はカトケンに詰め寄る>       │ 人情派刑事 │まあまあまあ。<豪腕刑事を止める>       │君は本当にやってないって言うんだね。       │だったら、裁判所に行って決着を着けようか。       │ カトケン  │嗅いでない。それでもボクは嗅いでないんだーーーーーーーーー!!!       │       │<暗転、豪腕刑事、人情派刑事は退場> 幕間 ナレーション│こうして、カトケンはコルメロ地裁に送られることとなった。       │果たして、彼の運命はどうなってしまうのか。       │コルメロテノールpresents『それでもボクは嗅いでない』。 第二幕〜法廷〜       │<裁判長、検察官、弁護士、カトケンは位置に着く>       │       │<光を点ける>       │ 裁判長   │それでは、コルメロ地裁において、ブレスするときに好きな人の匂いを嗅いじゃった事件の審理を始める。       │被告人加藤賢太郎、前へ。       │       │<カトケン前へ>       │ 裁判長   │嗅いだのかね。       │ カトケン  │嗅いでません。       │ 裁判長   │では、罪状認否を行う。検察は証拠を提出して下さい。       │ 検察官   │はい。被告人は3月12日未明、千葉県岩井海岸において被害女性Kの匂いを嗅いだ疑いがあります。       │まず、彼は飴をダシに彼女に近づき、匂いを嗅ごうとしました。            │これが証拠の飴です。       │<空の飴の袋を取り出す。>       │ 弁護士   │異議あり!       │その飴は空ですか?       │ 検察官   │(空の袋を取り出して)ええ、この通り大人気だったようです。       │ 弁護士   │裁判長。彼の飴は不人気で誰からも食べてもらえないのです。       │この通り。       │<弁護士は開封直後の飴の袋を逆さにし、バラバラとこぼす>       │ 裁判長   │本当に嗅いでないのかね?       │ カトケン  │むいてません。       │ 検察官   │裁判長!       │被告人、今何て言いました?       │ カトケン  │む、むいてません。       │ 検察官   │裁判長。彼は今、自ら罪を認めました。       │実は彼には同時期にもうひとつの余罪があります。       │この資料によれば、3月13日未明、千葉県南房総市のいとうRYOの一室において被害者T独身男性を       │寝かせずに、バナナを口にねじ込んだ疑いがあります。       │では、今から再現したいと思います。       │証言者前へ。       │       │<被害男性T登場>       │ 検察官   │あなたが見たバナナはこれで間違いないですね。       │ 被害男性T  │はい。       │ 検察官   │被告人は、バナナをこのようにむいて、あなたの口にねじこんだ。       │<検察官はTの口にバナナをねじ込む>       │ 弁護士   │異議あり。       │よく見えなかったので、もう一回やってもらっていいですか。       │       │<検察官はTの口にバナナをねじ込む>       │ 被害男性T  │ひどいなあ、もう。(退場)       │ 弁護士   │ところで、そのバナナはどこのものですか?       │ 検察官   │フィリピン産です。       │ 弁護士   │裁判長。岩井といえば海。海といったらマレーです。       │海つながりでここら一帯のスーパーにはマレー産のバナナしか売られてないのです。       │よって、その証拠は捏造です。       │ 検察官   │いいえ、この辺り一帯にはフィリピンパブがたくさんあります。       │加藤被告がフィリピンパブに出入りしている目撃情報があります。       │ 弁護士   │いいえ、バナナはスーパーで買われたものです。       │だいたい、あなたがフィリピンパブの常連なのではないですか?       │       │<裁判長はお酒を飲み始める>       │ 検察官   │行ってません。       │ 弁護士   │行った。       │ 検察官   │行ってません。       │ 弁護士   │行った。       │ 検察&弁護士│バーカ、バーカ、バーカ。       │       │<二人は裁判長のほうに向き直る>       │ 検察&弁護士│裁判長!アルコールはおかしいでしょう。       │ 裁判長   │静粛に。検察は本件の証拠のみを提出してください。       │ 検察官   │わかりました。       │では、今回の被害者Kさん、前へ。       │        │       │ ニセK    │私はきんかんと言ったのに、彼はマンゴーの飴を買ってきたんです。       │ひどすぎます。       │ 弁護士   │異議あり!       │先ほど言ったように飴は証拠になりません。       │第一彼は○○(役者の名前)です。       │ 全員    │ああー。       │ 裁判長   │ああ、うん。そうだね。君、もう帰っていいよ。       │ ニセK    │すいません、ちょいーーーっす。       │       │       │ 裁判長   │では、判決を言い渡す。       │被告人加藤賢太郎は、無罪である。       │ カトケン  │やったーーー。       │ 弁護士   │あなたは嗅いでないと思ってましたよ。       │       │<カトケンと弁護士は握手>       │ 検察官   │あいつ、絶対嗅いでるよ。       │ カトケン  │やったー、これで自由だ。       │       │<カトケンはKのそばへ行き、思いっきり息を吸い込む>       │ カトケン  │ああ、いい匂いだーーー。       │ カトケン以外│(カトケンを指差して)有罪!!       │       │<暗転。一同退場>